前置きが長くなったが、この辺であらゆる面で天才ぷりを発揮するジョンヒョクの魅力について語ってみよう。一言で言うなら、ジョンヒョクの存在自体が至極のファンタジーなのだ。このドラマを見終わる頃には皆、ジョンヒョク(ヒョンビン)の女になっていることだろう。(もちろん妄想だけど)

 

顔天才

ヒョンビンですもの、髪型が変でもいつも軍服でも間違いなく格好いいわけですよ。脱ぐ事のない服だけどきっとその下には強靭な肉体が隠れているのだろうと容易に想像ができてしまうがエロさのかけらもない、品のあるその容姿。全てが完璧。キャスティング担当者さん、ヒョンビンをキャスティングしてくれてありがとうございます!

北朝鮮では、国によって決められた髪型に地味な私服。自分なりに節制していろいろ我慢していたのだろうが、それでもその顔天才は近所のオバさん達を初めてとする女性達を虜にしてしまうのだ。悲しいかな北にいた頃は自分の万人をも虜にする美しさにも無頓着だったもよう。あるオバさんがこう言います。「すごく怒ってるのにカッコいい」「他の女性を探しに行った姿にドキドキする」。本当に何をしていても、カッコいいのだろう。髪の毛も含め全身を市場で買った石鹸の塊で洗っているはずなのに。それでいて、あの美しさを保てるのだから同じ石鹸を使っているだろうオバさん達もときめく訳だ。

韓国入りしてからはセリのクレジットカードの威力に物を言わせて、全身高級ブランドで決め込み江南の女性を虜にしていきます。変な髪型もすっきりジェルで固め額全開、垢抜けたジョンヒョク。イケメン度に加速がかかり、デパートのドアを押さえているだけでも動画に撮られる始末。ジャージでゲームしていても輝いて見えるのだ。君は無敵。生きている芸術作品なのだ。

 

完全無欠な天才将校

武術、撃術に長け、すべての任務に責任を持って完璧に遂行する完全無欠の将校リ・ジョンヒョク。20代前半までピアノしか弾いていなかったにもかかわらず、まあ、強いのだ。あまりにも真面目で曲がったことは大嫌い。謎の事件も見過がさず、悪代官チョルガンに目をつけられ命を狙われても怯まず立ち向い勝ってしまうのだ。

それが愛する女の為なら尚更、撃たれても、刺されても、ボコられてもダイハードのブルース・ウィルスのように蘇る。跳び蹴りや回し蹴りの小技から、パラグライダーで崖から飛び降りたり、バイクに乗って銃撃戦を繰り広げたり、ド派手なアクションも得意の模様。どうやら爆弾解体やバイクの改造もお手の物。鳥目、方向感覚、地獄耳、地図にない場所や盗聴器を探し当てるなどのマイナーな能力も持ち合わせている。

そのくせ、惚れた弱みかセリには弱い。

 

ノンチャラ天才

セリだけではなく、画面越しの女性をも虜にする誠実な性格が伝わってくる言葉選び。できないことはできないとはっきり言って無駄な期待をさせない強い優しさも持ち合わせている。全くチャラくないのだ。

コーヒーを淹れても「市場でさがし回ってコーヒー豆買ってきて焙煎から俺がやった」とか、20時間匍匐前進で細い抜け道を通って韓国にやってきても「匍匐前進で休まずに会いに来たんだぜ。すげーだろ?」なんて絶対言わないのだ。

怪我をして痛いだろうに「大丈夫だ」、知らない国で随分探し回っただろうに「随分探した」と自分のことは一言で終わらせてしまう潔さ。私の周りのそこの諸君爪の垢でも煎じて飲んでおけ。

韓国に来てからは少しずつ感情も出し、さらっとスキンシップをとったり、愛のセリフを吐くようになるのだが。

 

料理天才

ジョンヒョクが暮らすその地は北朝鮮の片田舎。もちろん通りの角にスターバックスもなければ、駅前にコンビニもない。例え、それがちょっと権力のある将校の家でも食べ物を保存するのは、冷蔵庫ではなく(停電の多いこの地ではただの収納ケースだけど)、家の外にある塩壷かキムチ庫。たとえ招かざる客人に振る舞う時も、粉を練ることろから麺作りが始まる。

屁理屈をたれるセリが目覚める前に起き、手作りの朝食を振る舞うが、毒入りではないかと疑われる始末。それにもめげず、自称少食姫というセリが1日に2回は肉を食べたいと言えば、近所の奥様方がこっそり塩壷に隠しておいてくれた肉を焼いたり、二日酔いの朝は、コーヒー豆を煎り普段は使っていないコーヒーメーカーまで引っ張り出してきてわざわざドリッピングの美味いコーヒーを淹れたりするのだ。自分の上司たちは南町(韓国)から裏ルートで持ってきた棒コーヒー(スティック状にパックされたインスタントコーヒー)を飲んでいるというのに。

とにかく、ちゃんと手料理で相手をもてなすジョンヒョク。こんなに尽くしても、セリは1回皿洗いをしただけだろうに、文句も言わない。

 

性格天才

時には強がってしまうジョンヒョクだが、基本的には非常に純粋で誠実。相手の話は良く聞き、意思を尊重する。とにかく、どこまでも海のように深い愛情を持った優しい男なのである。

しかし、ヤサ男ではなく、無駄口をたたかずしっかりとした芯のあるブレない男ジョンヒョク。それが惚れた女のためなら命を投げ打って守ってくれる。セリと出会う前にあんなにしょっ中怪我をしたことはあったのだろうか。

周りが見えなくなるほど世話好きになったり、部下にからかわれるほど一途なサランクン(恋人に夢中な男)になってしまったり、意味を与えなくていいと言いつつお揃いの指輪を買ってみたり、その入れ込み様は「パねー!」のだ。その姿は「いい年してアオハルかよ!」と言ってしまいそうになる。

セリの前だと堂々と拗ね、嫉妬する。時には鈍感、不器用なところ丸出しにし(時としてそれは芝居か!と思うが)、トマトは嫌いと言ってたくせにゲームキャラに「トマト栽培者」と名付けるところは、「可愛いかよ!」と思わず突っ込みたくなる。

本来、素直な性格なのだろう。辛い時は素直に泣く。隠したり強がったりしないのだ。兄の死の真相を知った時、父親にセリの安否を問う時、セリの意識が戻っ時、別れの時…。それぞれのシーンにあった厭味のない綺麗な涙を流すのだ。

また、自分の信じる者には、最大限の愛情を持って接する。部下からの信頼度も「パねー!」のだ。最初は、堅物だの、融通が効かねー、だの散々言っていた部下たちも最後には「あなたは私の祖国です!」と言ってしまうほど彼に心酔してしまうのだ。

セリを連れてパスポートの写真撮影のために平壌に行く頃はドギマギしていたセリへの気持ちも確信へと変わり、少しずつ愛情を表現し始める。韓国入りしてからは、堂々とデートしたり素直に愛情表現し始めるのは、自分の思いが不変的なものだという自信に変わった証なのだろう。相合傘のシーンはもうどうにでもして!と言いたくなる。ベタになりがちな相合傘をこんなにスマートにさらに美しく魅せるアジア人はこれまで存在しただろうか。

兄の死を境にすべてを諦めていた彼にとって未来を夢見始める機会となったセリと出会い。最終話でスイスで再会してからは、それまで見せたこともなかった晴れ晴れとした表情を見せるようになる。

ジョンヒョクは名門家の次男として生を受けた生粋のおぼっちゃまだ。ちなみに家族のペットはダチョウ。特異だ。
もとい、家族の前では30歳を過ぎていても子供に戻る。北や南では親に楯突くことは日本より悪いことなのだろう。風変わりな私の家では親子喧嘩なんて日常茶飯事だった(韓国で育ったわけではないが)。
彼はお兄ちゃん子だったのだろう。兄が不審な死を遂げ、心に傷を負った。そして、ピアニストになる夢を諦めスイスから帰国し兄の後を継ぎ兵士になった。諦めることで傷つかない道を選んだのだ。なんという悲哀なんだろう。彼の両親も息子の幸せのためならさらに一肌脱ぐことだろう。そのうち可愛い孫たちを抱ける日が来るよ。

 

 

今回も長くなりそうなのでこの辺で。

 

 

 

 

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その3に続く